ドラッカー経営理論
ドラッカーの経営理論
平成23年5月19日
組織長は、自分の命よりもマネジメントを優先できなければならない
Ⅰドラッカーの言葉から組織におけるマネジメントの重要性を考える。
<組織と社会の位置づけを明確にする>
- 企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。
- マネジメントの仕事と組織から、マネジメントについて論じ始めることは、あまりにテクノクラート的な発想である。それもかなり質の悪い発想である。なぜならば、マネジメントの仕事と組織は、それ自体が絶対かつ無条件のものではないからである。それらのものは、果たすべき役割によって決定されるべきものである。
- マネジメントの仕事と組織は、果たすべき役割によって決定されるべきものである。
- マネジメントとは、組織体に特有の機関である。機関は機能によってのみ説明され、明らかにされる。
<マネジメントの3つの役割>
- 自らの組織に特有の使命を果たす。
- 仕事を通じて働く人たちを生かす。
- 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。
<組織とマネジメント>
- 組織が機能するには、マネジメントが成果をあげなければならない。
- 組織がなければマネジメントもない。しかし、マネジメントがなければ組織もない。
- マネジメントとは、成果に対する責任に由来する客観的な機能である。
- 組織に寄託された資産の保全こそマネジメントの責務である。
- マネジメントはもともと権力を持たない。責任を持つだけである。その責任を果たすために権限を必要とし、現実に権限を持つ。
- いかなる分野においても、企業間に差をつけるものはマネジメントの質の違いである。
- マネジメントこそ、企業がもちうる唯一の意味ある強みである。
- マネジメントがいかにマネジメントし、またマネジメントされるかによって、組織の目的が達成されるか否かが決まる。組織のなかの人や仕事が、うまくマネジメントされるか否かが決まる。
- マネジメントを欠くとき、組織は管理不能となり、計画は実行に移されなくなる。ボスに気に入られることのほうが、成果をあげることよりも重要になる。
<マネジメントと人との関係> - マネジメントとは一般教養である。
- 明日のマネジメントの課題を果たすには、すでにマネジメントにある人たちのための高等教育が必要である。
- マネジメントの権威を回復する唯一の方途が、働く者一人ひとりに責任を求めることである。
- マネジメントとは、仕事の絆で結ばれたコミュニティとしての組織において機能すべきものである。
- マネジメントとは、個の責任とコミュニケーションを基盤とするものである。組織の成員すべてが、自らの目標を考え、他者がそれを理解していることを確かめねばならない。
- われわれには、誰もが自らをマネジメントの一員と見なす組織をつくりあげるという課題がある。→ マネジメント的視野を持つ責任ある従業員と、職場コミュニティの実現
<マネジメントのひとつの側面> - マネジメントは、常に現在と未来、短期と長期を見ていかなければならない。
- マネジメントとは、多様なニーズと目標をバランスさせることである。
- マネジメントとは常に、行動のための意思決定に関与している。そのためマネジメントには常に、時間という次元が存在する。その行動は常に、将来における成果を目標とする。
- マネジメントは部下への見方を変えるようになる。部下を自らの資源として見るだけでなく、自らを部下のための資源として見るようになる。
- たとえ製品が優れ、従業員が有能かつ献身的であっても、また、ボスがいかに偉大な力と魅力を持っていても、組織は、マネジメントという骨格を持つように変身しないかぎり、失敗を重ね、停滞し、坂を下りはじめる。
- 複数の人間が協力して、意志を疎通させつつ多様な課題を同時に遂行する必要が出てきたとき、組織はマネジメントを必要とする。
Ⅱドラッカーの言葉から人類におけるマネジメントの重要性を考える。
- 日本の成功は、マネジメントが原動力であり、経済発展はその結果であることを示した。
- あらゆる国において、社会と経済の健全さはマネジメントの健全さによって左右される。
- そもそも国として、発展途上国なる国は存在せず、存在するのはマネジメントが発展途上段階にある国だけである。
- 経済発展は、経済的な富ではなく、人間のエネルギーによってもたらされる。人間のエネルギーを生み出し、その方向づけを行うものがマネジメントである。
- 社会の健康はマネジメントにとって不可欠である。
- マネジメントこそ、文化の多様性を人類共通の目的に奉仕させるものである。
- 今日の先進社会の中心にあるものはニーズとしても、貢献としても、知識と研究の対象としても、マネジメントである。その課題であり、責任であり、実践である。マネジメントたる者は、社会のニーズをもって、利益をあげる事業機会としてとらえなければならない。これこそイノベーションの定義である。
- 成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである。
- マネジメントの正統性の根拠は「人の強みを生産的なものにする」ことである。
- プロフェッショナルの責任は、すでに2500年前、ギリシャの名医ヒポクラテスの誓いのなかに、はっきり表現されている。「知りながら害をなすな」である。