家族とマネジメント

家族とマネジメント

これからの社会は、ますます知識が重視される知識社会であり、組織無くしては成り立たない組織社会だとドラッカーはいう。

確かに学歴社会という入り口を通って知識社会になったことは実感できるところである。だが、組織社会についてはどうだろうか。日本においては、まだまだコミュニティ社会の延長線上にあるように思っている人が多いのではないだろうか。コミュニティと組織の大きな違いは、コミュニティは人が集まれば自然発生的にできるものであり、組織は明確な目的(ミッション)の下に人が集まったものである。

コミュニティと組織の共通点は、その発展においてリーダーの手腕にかかっていることである。そして、コミュニティと組織のリーダーの違いは、コミュニティでは一度リーダーの地位を確立すると、成果が明確でないため、よほど力が衰えない限りリーダーの地位に留まるが、組織においては成果をあげることができなければ存在そのものが危うくなるため、長く存続している組織は常に適切なリーダーを選出し、成果を上げ続けている。

適切なリーダーの選出に関してはマネジメントが機能していることが不可欠である。よくマネジメントされた組織は、時にふさわしい適切なリーダーを選出するとともに、そのリーダーの下で最高の力を発揮するメンバーで構成される。

このような考え方に基づいて現在の家族について考えてみると、日本では一般的にリーダーが父親であり、よほど力が衰えない限りはリーダーの地位に留まり続け、家族というコミュニティの運命を決める。そうなれば、父親によって家族の運命が決まることになるため、賢明な母親は離婚を考えるようになる。そして、リーダーの地位に留まることに固執した父親は離婚され、家族は崩壊する。

次に、家族を組織と見てマネジメントを機能させるとどうなるか。一般的にリーダーが父親であることは変わらないが、マネジメントが機能していると家族全員が家族のミッションを意識するようになる。家族はコミュニティであり、コミュニティは仲の良いことが大切であるから、家族のミッションを仲良くすることと考え、その目的を達成するために、様々な出来事に合わせて適切にリーダーを変えるようになる。適切なリーダーの選出はミッションに近づく。すなわち、家族の仲が良くなる。

ちなみに、仲良くすることと、仲が良いこととは違う。いくら家族だからといっても一人の人間である以上、気の合わない家族がいて当然である。しかし、仲良くするように努力することはできる。仲良くするように努力することが、仲が良いことである。

もしドラッカーが生きていたら、「幸せな家族や不幸な家族などというものはない。うまくマネジメントが機能している家族としていない家族があるだけである」というだろう。

以上

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