どのような貢献ができるか

経営者の条件(1966年)抜粋

第三章 どのような貢献ができるか

成果を正しく認識するためには、どのような貢献ができるかを考えなければならない。なぜならば、組織の成果は組織の外に発生するからである。ここの部分が欠落してしまうと、お金によって成果が歪められてしまう可能性が高い。そして、歪められた成果は一時的には得られても、継続性は薄い。ということで、この章ではドラッカーはどんなことを言ってるんだろうか?

  • 成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。
  • 貢献に焦点を合わせることが、仕事の内容、水準、影響力において、あるいは上司、同僚、部下との関係において、さらには会議や報告の利用において成果をあげる鍵である。
  • どのような貢献ができるか」を自問しなければ、目標を低く設定するばかりでなく、間違った目標を設定する。何より、自ら行うべき貢献を狭く設定する。
  • あらゆる組織が3つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ。
  • 組織は方向性をもたなければならない。さもなければ混乱し、麻痺し、破壊される。
  • 組織は個としての生身の人間の限界を乗り越える手段である。したがって自らを存続させえない組織は失敗である。
  • ビジョンや能力や業績において、今日の水準を維持しているだけの組織は適応の能力を失ったというべきである。人間社会において唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は明日の変化に生き残ることはできない。
  • 人は課された水準に適応する。貢献に照準を合わせる者はともに働くすべての人の視点と水準を高める。
  • 貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである。貢献に焦点を合わせることなくしては、やがて自らをごまかし、組織を壊し、ともに働く人たちを欺くことになる。
  • 以前の仕事では正しかった仕事の仕方をそのまま続けるならば、新しい仕事では、間違った仕事を間違った方法で行うことになる。
  • 努力を続けても成果があがらない時は、努力の方向性を変える必要がある。すなわち、自らにチャレンジしなければならない。
  • 知識ある者は理解されるよう努力する責任がある。貢献に責任をもつためには、自らの産出物すなわち知識の有用性に強い関心をもたなければならない。
  • 対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。そうして人間関係が生産的となる。生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。
  • われわれは貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己開発、人材育成という、成果をあげるうえで必要な4つの基本的な能力を身につけることができる。
  • 知識組織においては、成果をあげる仕事は、多種多様な知識や技能をもつ人たちで構成されるチームによって行われる。彼らはフォーマルな組織構造に従ってではなく、状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力して働く。
  • 人、特に知識労働者というものは、自らが自らに課す要求に応じて成長する。自らが成果や業績とみなすものに従って成長する。自らに少ししか求めなければ成長しない。多くを求めるならば何も達成しない者と同じ努力で巨人にまで成長する。
  • われわれは貢献に焦点を合わせることによって、基本的な問題の一つについて解決に近づくことができる。混乱と混沌に対する対応である、それらのうち意味あるものと雑音にすぎないものとの識別である。
  • われわれは、貢献に焦点を合わせることによって、原則とすべきものを知る。かつ諸々の事象の意味を知る。また、貢献に焦点を合わせることによって、組織の中にあって他の人たちに依存しているという組織に働く人に特有の弱みを強みに転換することができる。すなわち、チームの形成を可能とする。
  • 貢献に焦点を合わせることによって、組織の内部にひきこもることを防ぐ。貢献に焦点を合わせることによって、組織の内部における努力、仕事、諸々の関係から、組織の外部すなわち組織の成果に目を向けることができる。市場、顧客、地域の患者、一般市民など外部の世界と直接関係をもつことができる。
  • 貢献に焦点を合わせるということは、つまるところ、成果をあげることに焦点を合わせることである。

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